日本小児呼吸器疾患学会雑誌
Online ISSN : 2185-3754
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乳児喘息とReactive Airway Disease (RAD)
望月 博之森川 昭廣
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2007 年 18 巻 1 号 p. 57-62

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抄録
乳幼児の器質的な異常を原因としない反復性喘鳴の鑑別には, 古典的なアトピー型の喘息と区別すべき症候群が存在すると推測される。このひとつに, 乳幼児期のウイルス性下気道疾患罹患後に多くみられる反応性気道疾患 (Reactive Airway Disease; RAD) がある。このRADに明確な定義はないが, 乳幼児の反復性喘鳴の臨床病名で, 古典的な乳児喘息とは診断できない, または診断に至らない群を示すと理解される。特にウイルス感染後のRADには持続する気道過敏性の亢進が認められるため, 肺機能検査や気道過敏性試験を組み入れた検討を計画したとしても, 現行の診断基準では古典的な乳児喘息と分類することは, 乳幼児期には不可である。しかしながら, これらの疾患では病態に相違があるため, 予後が大きく異なる可能性が考えられる。選択すべき治療内容やその継続を考える上で, RADを含む乳幼児の喘鳴性疾患のphenotypeの鑑別法に, さらなる進歩が求められている。
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