抄録
小児呼吸器感染症の抗菌薬療法にあたって, 原因微生物を念頭におき, 可能な限り病原診断を施行することは, 適切な抗菌薬療法を行うために重要である。マイコプラズマやクラミジアは分離培養が可能な微生物であるが, 特殊な培地や日数を要する。小児科領域で主として問題となる肺炎マイコプラズマMycoplasma pnenmoniae, 肺炎クラミジアChlamydophila (Chlamydia) pnmmoniae, トラコーマ・クラミジアChlamydia traohomatis感染症の病原診断について概説した。マイコプラズマやクラミジア感染症の病原診断には, 市販の抗原・抗体検出法の有用性が高いが, 各試薬の特徴を理解して総合的に判定することが必要である。抗原・抗体診断法では, 薬剤耐性株を同定することができないが, マクロライド耐性M. pnmmoniaeなどの耐性株を検出する方法として, PCR法による耐性遺伝子の検出が有用である。