日本小児呼吸器疾患学会雑誌
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19 巻, 1 号
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  • 成相 昭吉
    2008 年 19 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    2歳未満RSウイルス (RSV) 細気管支炎症例の重症度を, 呼吸障害の程度と日常性への影響によって評価する「RSV細気管支炎クリニカルスコア」を作成した。呼吸障害クリニカルスコアは酸素飽和度・1分間呼吸数・呼気性喘鳴・陥没呼吸の4項目を, 日常性スコアは経口摂取・睡眠の2項目を, それぞれ0~2点の3段階で評価した。2006年10月から2007年3月までに, 基礎疾患等のない2歳未満RSV細気管支炎の外来例34例と入院例36例 (31例は初診時入院) に適用し, 初診時における評価を比較した。それぞれの平均は月齢が7.5カ月と8.7カ月, 初診病日が4.1日と4.5日で差はなかったが, 呼吸障害クリニカルスコアは2。5点と4.2点, 日常性スコアは0.9点と2.9点で, いずれも入院例が有意に高かった (p<0.001) 。本クリニカルスコアを2歳未満RSV細気管支炎症例に適用した場合, 呼吸障害クリニカルスコアが4点以上または日常性スコアが2点以上の症例は重症で, 入院が適当と考えられた。
  • 中島 千賀子, 新藤 潤, 横山 哲夫, 伊藤 真樹
    2008 年 19 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    喀血をくり返す先天性中枢性肺胞低換気症候群 (CCHS) の1例を経験した。CT, 気管支内視鏡検査, 大動脈造影などの所見から気管支拡張症による肺出血と考えた。CCHS患者に気管支拡張症を合併することはあまり知られていないが, 長期間の気管切開, CCHSによる低換気や自律神経系異常が気管支拡張症の増悪因子であると推測した。今回の経験から, CCHS患者の呼吸管理では, 気道感染症を減らし気管支拡張症を予防することが重要であると考えた。その方法として (1) 長期気管切開を避けるために人工換気方法の変更, 慢性気道炎症をコントロールするために適切な (2) 呼吸理学療法,(3) 抗菌薬療法を考慮したほうがよいと考えた。
  • 鎌形 正一郎
    2008 年 19 巻 1 号 p. 17
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
  • 特に外科的視点から
    岡崎 任晴, 末吉 亮, 川嶋 一成, 加藤 善史, 田中 利隆, 竹田 省, 東海林 宏道, 清水 俊明, 山高 篤行
    2008 年 19 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    [目的] 当科での先天性嚢胞性腺腫様肺奇形 (以下, CCAM) の経験をもとに, その治療方針について特に外科的視点から検討した。
    [方法] 対象は1990年から2007年に当科で経験したCCAM18例。A群: 胎児診断 (+) ・生後有症状・手術施行, B群: 胎児診断 (+) ・生後無症状・手術施行, C群: 胎児診断 (+) ・生後無症状・無治療, D群: 胎児診断 (-)・新生児期発症・手術施行, E群: 胎児診断 (-) ・乳児期以降発症・手術施行, に分け検討した。また, 手術を施行したA, B, D, E群に関して, 新生児期手術施行9例 (N群) と乳児期以降手術施行6例 (I群), また肺炎既往なし11例 (P [-] 群) と肺炎既往あり4例 (P [+] 群) とし, 手術時間と術中の体重あたりの出血量を比較した。
    [結果] 18例の内訳は, A群5例 (Stocker I型3例, II型1例, III型1例), B群4例 (I型2例, II型2例), C群3例 (II型2例, III型1例), D群2例 (I型1例, II型1例), E群4例 (I型1例, II型3例) 。A群は全例生後1日以内に呼吸症状を呈し, 新生時期に手術 (肺葉切除4例, 部分切除1例) を施行した。B群は, 2例で画像上病変の増大を認めたため新生時期に, 残る2例は無変化だったが新生時期と3歳時に肺葉切除を施行した。C群3例は, 病変は残存するが無症状で観察中 (4カ月~3年2カ月) である。D群2例では新生時期, 1カ月時に肺葉切除を施行した。E群4例は2~7歳 (平均4.5歳) に肺炎で発症, 本症診断までの肺炎の既往は, 1回が2例, 2回と3回が1例ずつであった。術式は肺葉切除2例, 部分切除2例で, 術中癒着を認めたが剥離操作は可能であった。後者の1例で再発し, 肺葉切除を施行した。N群, I群, P [-] 群およびP [+] での手術時間と術中の体重あたりの出血量は, 各々N群: 181±96分・7.1±9.4ml/kg, I群: 199±53分・7.2±4.1ml/kg, P [-] 群: 172±88分・6.2±5.7ml/kg, P [+]: 232±19分・7.3±3.3ml/kgで有意差はなかった。手術例において, 術中術後に主要な合併症はなかった。16例が生存し経過良好である。死亡例2例はいずれもA群で, 胎児水腫が出生時まで存在した症例である。悪性腫瘍の合併はなかった。
    [結語] 以上の結果より, 新生児期, 乳幼児期いずれでも, また肺炎の既往に関わらず, 手術は安全に施行し得る。手術適応は症状出現時または画像上病変増大時, 術式は罹患肺葉切除が推奨される。無症状例の手術適応・時期の決定には, 悪性腫瘍の発生頻度・年齢などの検討が必要であろう。
  • 大畠 雅之, 徳永 隆幸, 山根 裕介, 永安 武
    2008 年 19 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    1990年から2007年までに当科で経験した先天性嚢胞性腺腫様奇形 (CCAM) は7例 (男児6例, 女児1例) で, 4例が胎児超音波検査でCCAMの存在が疑われ, うち2例が出生直後から胸腔内嚢胞性病変の急速拡大により新生児期に緊急手術が行われた。2例は経過観察中の画像検査で嚢胞性病変の拡大傾向を認めたため生後1カ月と3カ月で手術が施行された。出生後にCCAMの存在が疑われたのは3例で1例は出生直後からの呻吟様呼吸症状で, 2例は繰り返す肺炎罹患がきっかけとなり画像診断で診断された。全例に肺葉切除が施行され, 3例に肺葉内肺分画症の合併を認めた。病理組織診断で5例がStocker分類のI型で2例がII型であった。急速に増大するCCAMは新生児期での緊急手術も必要であるが, 症状のないCCAMの存在が疑われる症例でも残存肺の再生能力や感染罹患の危険性増大を考慮し, 生後6カ月前後を手術時期として考える。
  • 高見澤 滋, 西島 栄治, 高野 洋一, 岡本 竜弥, 荒井 洋志, 尾藤 祐子, 中尾 真, 横井 暁子, 堀内 淳, 佐藤 志以樹
    2008 年 19 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    当施設で治療を行った先天性嚢胞性肺疾患のうち先天性嚢胞状腺腫様形成異常 (Congenital cystic adenomatoid malformation, CCAM) 17例および肺分画症13例を後方視的に検討し, その手術適応, 手術時期について検討した。CCAMの診断時期は胎児診断を含む新生児期が6例, 1歳までが3例, 1歳以降が8例であり, 分画症の診断時期はそれぞれ3例, 3例, 7例であった。CCAMおよび肺分画症における診断から手術までの時間および手術時年齢の中央値はそれぞれ0.2年 (13日~3.9年), 0.5年 (14日~5.8年) および1.2歳 (13日~13.9歳), 2.3歳 (16日~9.8歳) であった。CCAMの3例, 肺分画症の4例 (先天性横隔膜ヘルニア (CDH) 1例, CDH術後横隔膜弛緩症1例含む) に術前の呼吸障害が認められた。術前の肺炎はCCAMおよび肺分画症の9例ずつに認められ, CCAMおよび肺分画症ともに10カ月時発症が最低齢であった。術後肺炎に対する入院治療をCCAMの1例 (術後3年) および分画症の1例 (多発性翼状片症候群合併) に要した。呼吸障害を認めるCCAMおよび肺分画症に対しては速やかに手術 (肺葉切除あるいは分画肺切除) を行う必要がある。呼吸障害を認めない症例においても術前の肺炎, 膿瘍形成を避け, 正常肺の発育を促すために可及的早期 (生後10カ月頃まで) に手術を行うことが望ましいと思われた。
  • 上原 秀一郎, 奥山 宏臣, 窪田 昭男, 川原 央好, 長谷川 利路, 石川 暢己, 三谷 泰之
    2008 年 19 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    [目的] 出生前診断された嚢胞性肺疾患の臨床経過を後方視的に明らかにする。 [方法] 過去18年間に当院で出生し, 嚢胞性肺疾患と出生前診断された29例を対象とし, 周産期経過, 手術時期, 所見, 最終診断, 予後について後方視的に検討した。 [結果] 最終診断は先天性嚢胞状腺腫様奇形 (CCAM) 16例, 肺葉外分画症5例, 肺葉内分画症3例, 気管支嚢胞2例で, 残る3例は手術待機中である。胎児肺胸郭断面積比は出生後の呼吸器症状の有無, 1週間以上の人工換気, NO吸入療法の有無とよく相関した。胎児治療は肺葉外分画症2例で胸腔-羊水腔シャントが有効であった。有症状例は新生児期に手術を行ったが, 無症状例の手術時期は生後6カ月から12カ月が適当と考えられた。全例が現在, 生存中である。 [結論] 嚢胞性肺疾患の出生前診断症例は増加傾向にあり, 胎児期に治療方針を決定することで, 良好な予後が期待できる。
  • 黒崎 知道, 岡田 賢司
    2008 年 19 巻 1 号 p. 41
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
  • 山崎 勉
    2008 年 19 巻 1 号 p. 42-47
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    小児呼吸器感染症の抗菌薬療法にあたって, 原因微生物を念頭におき, 可能な限り病原診断を施行することは, 適切な抗菌薬療法を行うために重要である。マイコプラズマやクラミジアは分離培養が可能な微生物であるが, 特殊な培地や日数を要する。小児科領域で主として問題となる肺炎マイコプラズマMycoplasma pnenmoniae, 肺炎クラミジアChlamydophila (Chlamydia) pnmmoniae, トラコーマ・クラミジアChlamydia traohomatis感染症の病原診断について概説した。マイコプラズマやクラミジア感染症の病原診断には, 市販の抗原・抗体検出法の有用性が高いが, 各試薬の特徴を理解して総合的に判定することが必要である。抗原・抗体診断法では, 薬剤耐性株を同定することができないが, マクロライド耐性M. pnmmoniaeなどの耐性株を検出する方法として, PCR法による耐性遺伝子の検出が有用である。
  • 武田 紳江
    2008 年 19 巻 1 号 p. 48-52
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    小児呼吸器感染症の病原体診断法には (1) 培養法 (2) 簡易抗原検査法 (3) 遺伝子検査法 (4) 血清抗体価測定法の4種類が挙げられる。培養法が第一選択であるが, 培養法に比べ簡易抗原検査法は特殊な技術や機器を必要とせず, 短時間で菌の存在を知ることが可能である。しかし欠点として薬剤感受性が判明しない点, 原因菌か常在菌かの判別が困難な場合がある。遺伝子検査法は抗菌薬の前投薬のため菌が検出できない場合に有用であり, 菌によっては耐性遺伝子の検索まで可能である。一方特殊な機器と技術を必要とし, 簡易抗原検査法と同様常在菌として存在する部位からの検出には注意を要する。そしてこれらの病原体診断は, 喉頭蓋炎や肺膿瘍・肺炎のような重篤な疾患, 遷延する病態, 再燃・合併症をきたす可能性のある疾患には行うべきである。また病原体診断を繰り返すことで, 原因菌や薬剤感受性の推移を検討でき, 初期抗菌薬の選択にも有益になると考えられる。
  • 座長のまとめ
    足立 雄一, 上田 康久
    2008 年 19 巻 1 号 p. 53
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
  • 吸入療法の基礎
    藤村 直樹
    2008 年 19 巻 1 号 p. 54-59
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    1)吸入療法の歴史:古代より, 呼吸器疾患の治療には, 吸入療法が用いられてきた。古代インド, 中国, アステカでは曼茶羅華, ベラドンナ, 麻黄などを煙として吸引した。2)吸入ディバイスの進歩:1930年代になるとネブライザーなどがつぎつぎと作られ, 携帯に便利な定量噴霧吸入と, ドライパウダー吸入が開発された。その後, HFAを噴射剤としたキュバールTMの開発で, エアゾールの微粒子化と高い薬剤肺内送達をもたらした。またレスピマットの開発も重要である。3)吸入されたエアゾール粒子の気道内運搬と沈着は,(1)慣性衝突,(2)沈降,(3)拡散により行われる。4)吸入された薬剤エアゾールは,(1)粒子径,(2)粒子密度,(3)吸気時間/気道内滞在時間,(4)吸気流速, が影響を与える。5)エアゾール粒子径と肺内の粒子沈着分布:粒子径∅=3μmは中枢気道に, ∅=3-2μmは中間気道まで, ∅≤2μmは末梢気道までの送達, 沈着が可能となる。6)吸入ディバイスは,(1)エアゾール噴射と吸入の同期,(2)薬剤上気道沈着,(3)エアゾール噴射時間などの特性を持ち, 利点にも欠点にもなっている。今後もより理想的な薬剤エアゾールと吸入治療の進歩が期待される。
  • 上田 康久
    2008 年 19 巻 1 号 p. 60-63
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    小児呼吸器疾患における吸入療法の適応は上気道, 下気道, 肺胞においてその効果が期待できる全ての病態であり, 適切な吸入療法の有用性は非常に高いと思われる。しかし, 「気道径が絶対的に細い」, 「1回有効換気量が少ない」, 「深吸気や息止めができない」といった成人とは異なった様々な注意点が存在する小児では, 施行方法によっては効果がないばかりか病態を悪化させてしまう可能性もある。小児に効果的な吸入療法を行うためのポイントは “細い気道” に対しいかに “1回有効換気量” を獲得するかにあり, その構成因子は1) 気道径のサイズ, 2) ポンプ機能 (呼吸筋力), 3) 胸郭コンプライアンス (胸郭のやわらかさ) となる。いずれの因子成分の悪化においても十分な換気量が確保できなくなるため, 吸入効果を高めるには低下因子への補助療法が必要となる。より良い吸入療法を提供するために小児の特徴や個々の病態を考慮した吸入療法を選択したい
  • 浜崎 雄平, 田代 克弥
    2008 年 19 巻 1 号 p. 64-70
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    近年喘息に対する吸入ステロイド薬の使用増加に伴い, 乳幼児に対して日常的に吸入薬を投与する機会が増加してきた。その際, 一定量の薬剤をいかに効率よく吸入させるかが重要な課題となる。乳幼児に対してはpMDI+スペーサ+マスクもしくはネブライザ+マスクでの吸入が基本となる。βアゴニストを用いた研究ではpMDI+スペーサ+マスクは決してネブライザに劣ってはいないことが示されていることと, 経済的な視点から, まずpMDI+スペーサ+マスクを試みてうまくいかない場合にネブライザ+マスクに変更するのが妥当である。pMDI+スペーサ+マスクで注意すべきことは, スペーサに静電気を生じないよう注意することとマスクを顔に密着して使用し漏れをおこさないようにすることである。啼泣等でマスクの密着使用ができないときはネブライザ使用で吸入効率が高くなる。また, 年長児を含めて吸入指導は吸入効率の上昇のため重要である。単回の指導でなく複数回の繰り返し指導が重要である
  • 石塚 洋一
    2008 年 19 巻 1 号 p. 71-79
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科における吸入療法は, 局所療法の一つとして, ネブライザー療法の名称で広く行われている。1958年に保険診療で認められ, 私共の行ったアンケート調査では, 94.2%の耳鼻咽喉科医が使用している。ネブライザー療法の適応疾患は主に副鼻腔炎であるが, 急性慢性咽喉頭炎, 急性喉頭蓋炎, 仮性クループ, 喉頭腫瘍, 鼻アレルギーにも用いられている。副鼻腔炎に対しては, 抗生剤, ステロイド剤, 血管収縮剤, 粘液溶解剤などを併用することが多く, 小児から成人まで幅広く使われている。1996年よりネブライザー療法に適応を持つ抗生剤 (塩酸セフメノキシム) が開発され, 臨床応用が可能になった。この時の治療効果は, 72.7%の有効率である。副鼻腔炎のネブライザー療法は, 鼻腔内の鼻汁を前処置により吸引除去することが, 治療効果を高める上でも重要である。小児のネブライザー療法は, さらに有用性の高い治療法として確立する必要がある。
  • 長谷川 久弥, 川暗 一輝, 井上 壽茂, 梅原 実, 高瀬 真人
    2008 年 19 巻 1 号 p. 80-84
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    先天性中枢性肺胞低換気症候群 (オンディーヌの呪い, 以下CCHS) は睡眠時に低換気を呈する稀な疾患である。今回, 本邦におけるCCHSの実態把握のため, 全国アンケート調査を施行した。23施設から37例のCCHS症例の回答が得られた。主な結果は以下の通りである。症例背景: 男児18例, 女児19例, 在胎週数39.2±2.1, 出生体重2917±360g, 年齢4ヶ月-34歳。診断方法: 臨床症状37/37 (睡眠時低換気37/37, 覚醒時低換気9/37), 血液ガス分析25/37, 炭酸ガス換気応答14/37, 遺伝子解析 (PHOX2B) 13/37。合併症: Hirschsprung氏病13/37, 中枢神経合併症15/37, 他。転帰: 病院内死亡3/37, 入院中1/37, 在宅人工換気33/37 (死亡4/33, 施行中29/33), 治癒0/37。呼吸管理法: 気管切開21/37, 鼻マスク9/37, フェースマスク5/37, 横隔膜ペーシング1/37。今回の検討で本邦におけるCCHSの現状を把握することができた。CCHSの診断, 管理等は様々な方法が行われており, 統一されたものはなかった。今後, 症例の蓄積をすすめ, 適切な診断, 管理法を検討していく必要があるものと思われた。
  • 予防策の推進にむけて
    市丸 智浩, 樋口 収, 足立 雄一, 浅井 正嗣, 川暗 一輝
    2008 年 19 巻 1 号 p. 85
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    小児における気管・気管支異物の吸引に関する全国調査を日本小児呼吸器疾患学会の協力のもとで行った。全国で114施設が小児の気道異物の摘除が可能と回答し, 2005年1月から2006年9月までに170症例 (2カ月-15歳) が経験された。ケースカードの記載不十分だった5例を除く165例の検討では, 77.6%が2歳以下で, 咳噺や喘鳴が主症状であったが, 呼吸停止・心停止が5例に認められた。異物の種類はピーナッツなどの食物が多数を占め, 診断は約半数で24時間以内になされていたが, 約2割では1週間以上を要していた。予後は大部分の症例で良好だったが, 1例は多臓器不全で死亡し, 4例が低酸素性脳障害を残し, 気管支拡張症と繰り返す肺炎が1例ずつであった。小児における気道異物吸引の多くは予防可能で, 早期診断も可能と思われる。今後, 医療機関や行政, さらに食品を扱う企業など社会全体で啓発活動を推進していく必要があろう。
  • 井上 壽茂
    2008 年 19 巻 1 号 p. 91
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    日本小児呼吸器疾患学会薬事委員会, ならびに将来構想委員会での検討を通じ, 以下の検討を行った。特発性間質性肺炎治療薬として有用性が報告され個人使用されているマラリア治療薬であるヒドロキシクロロキンは欧米でも適応取得されていないが, 免疫調節薬として自己免疫疾患に対し用いられているため, 適応外であるとの認識は乏しい。わが国で更に知見を蓄積するため前方視的検討開始の準備をはじめた。嚥下機能検査や気管支造影検査に用いられている低浸透圧性非イオン性ヨード系造影剤について情報収集を行い, 欧米で一部適応取得のある薬剤の存在が確認された。本年度より新たに嚢胞性線維症(cystic fibrosis)に対する喀痰排泄促進のための吸入薬であるrhDNase(Dornase alfa)について検討を開始した。保険制度との関係で費用が嵩み困っているディスポーザブル製品や医療機器について問題点を模索した。呼吸器疾患に対し特異的に行われている吸入療法で用いるネブライザー吸入器や吸入補助スペーサー, 呼吸訓練や排痰補助器具, あるいは在宅人工呼吸療法にともなう備品やモニター等の周辺機器がリストアップされた。
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