日本小児呼吸器疾患学会雑誌
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小児における気管・気管支異物の全国調査結果
予防策の推進にむけて
市丸 智浩樋口 収足立 雄一浅井 正嗣川暗 一輝
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キーワード: 小児, 気道異物, 異物吸引, 事故
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2008 年 19 巻 1 号 p. 85

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抄録
小児における気管・気管支異物の吸引に関する全国調査を日本小児呼吸器疾患学会の協力のもとで行った。全国で114施設が小児の気道異物の摘除が可能と回答し, 2005年1月から2006年9月までに170症例 (2カ月-15歳) が経験された。ケースカードの記載不十分だった5例を除く165例の検討では, 77.6%が2歳以下で, 咳噺や喘鳴が主症状であったが, 呼吸停止・心停止が5例に認められた。異物の種類はピーナッツなどの食物が多数を占め, 診断は約半数で24時間以内になされていたが, 約2割では1週間以上を要していた。予後は大部分の症例で良好だったが, 1例は多臓器不全で死亡し, 4例が低酸素性脳障害を残し, 気管支拡張症と繰り返す肺炎が1例ずつであった。小児における気道異物吸引の多くは予防可能で, 早期診断も可能と思われる。今後, 医療機関や行政, さらに食品を扱う企業など社会全体で啓発活動を推進していく必要があろう。
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