2022 年 40 巻 1 号 p. 114-124
近年Arduino型マイクロコンピュータを用いた生理指標測定が普及しつつある。このテクニカルノートでは,精神生理学的研究においてメジャーな3つの指標,すなわち心電図,筋電図,皮膚コンダクタンスに関し,ブレッドボード上に回路を作成する方法を解説した。また,それらの指標について,Arduino開発環境でプログラムを作成し,測定する方法について解説した。発展的な事例として,Bluetooth通信やWi-Fi通信に対応したマイクロコンピュータを用いることで,測定を無線化する方法についても解説した。自作の回路を用いた生理指標測定は,測定システムを低価格化するだけでなく,指標に対する理解を深めることができる,実験計画を柔軟にするなどの様々なメリットがある。このような手法が,精神生理学的測定に新たな可能性をもたらすことが期待される。