生理心理学と精神生理学
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主観的な感情と要求される表情表出の違いが生理反応に及ぼす影響
中川 紗江鈴木 直人
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論文ID: 1308oa

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抄録
本研究の目的は,不快感情が喚起されている時に意図的に笑顔を表出することによって生じる主観的な感情と表情の違いが,心臓血管系反応に及ぼす影響を検討することである。
42名の実験参加者が2本の短い映像を視聴した。使用した映像は,それぞれ嫌悪映像(不快刺激群),楽しい映像(快刺激群),中性映像(中性刺激群)を2本ずつであった。
実験参加者は,一方の映像は意図的に笑顔を表出しながら視聴するよう求められ(笑顔条件),もう一方の映像は自然な表出で視聴するよう求められた(自然条件)。実験参加者が映像を視聴している間,心臓血管系反応測定した。さらに,実験参加者が視聴し終わった後も心臓血管系反応を継続して測定した。
その結果,笑顔条件において全ての群の収縮期血圧および拡張期血圧の値が上昇した。しかしながら,心拍率は快群において上昇した一方,不快群では減少した。不快群の心臓血管系反応パターンは,α‐アドレナリン作動性収縮によって引き起こされるパターンII反応に類似している。心臓血管系の活動に関する研究において,このパターンはしばしば不適応的な反応の指標としてみなされる。
したがって,これらの結果は,感情価のズレが不適応的な生理反応を引き起こす可能性を示唆している。
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© 2014 日本生理心理学会
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