論文ID: 1714oa
社会的排斥による不適応な状態から回復する方略として,他者から受け容れられることが報告されている.本研究では,回復の個人差について,特性自尊心の影響を検討した.研究1では排斥に対する主観反応である欲求脅威に,研究2では受容および排斥手がかりに対する注意配分 (P3b) にそれぞれ着目した.排斥操作にはサイバーボール課題を使用し,排斥セッションの後に受容セッションを行った.検討の結果,研究1では特性自尊心高群は排斥経験時の欲求脅威が大きいほど受容経験による欲求脅威の低下も増大したが,低群では同様の関係は示されなかった.研究2では,特性自尊心低群は高群よりも受容による欲求脅威の低下が小さく,受容手がかり(参加者への投球)に対するP3b振幅も小さいことが示された.以上の結果より,特性自尊心低群の回復のしにくさは,受容手がかりに対する注意配分の小ささが影響すると考えられる.