生理心理学と精神生理学
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内側前頭前野のD1ドーパミン受容体阻害がピークインターバル手続きにおける一致度および変動性に及ぼす効果
劉 星志畑 敏道
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論文ID: 2005si

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抄録

本研究は,ラットの内側前頭前野(medial prefrontal cortex, mPFC)におけるドーパミンD1受容体(D1DR)阻害薬SCH23390の局所投与がインターバルタイミング(以下,タイミング)に与える効果について検討した。特定の時間範囲内に生じるオペラント反応を餌で選択的に強化するピークインターバル手続きを用いて,タイミングの変動性と一致度を評価した。統制条件(0.0 μg)に比べ0.5 μg条件では,試行内反応率が影響を受けなかったにもかかわらず,標準化された反応率分布が平坦化し,DI値(変動性の指標)が低下した。それに対して1.5 μg条件では,標準化された反応率分布もDI値もほとんど変化しなかったが,試行内での反応率が低下した。タイミングを求めない別の課題においても,反応率の低下が生じることを確認した。一方,タイミングの一致度が用量間で異なることを示す証拠は得られなかった。以上のことから,mPFCのD1DRに対する抑制は一致度でなく,変動性を悪化させる効果があることが明らかにされた。

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© 2020 日本生理心理学会
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