生理心理学と精神生理学
Online ISSN : 2185-551X
Print ISSN : 0289-2405
ISSN-L : 0289-2405
音楽の統語処理に及ぼすバス旋律の効果
石田 海池田 一成入戸野 宏
著者情報
ジャーナル フリー 早期公開

論文ID: 2008br

この記事には本公開記事があります。
詳細
抄録

右前頭部初期陰性電位(early right anterior negativity: ERAN)は,西洋の調性音楽において調性的文脈から逸脱した和音が提示されたときに生じる事象関連電位である。ERANは,音楽の統語処理を反映すると考えられている。近年の研究で,ピッチ逸脱が主旋律に生じたときは,他の声部に生じたときよりもERANが増大すると報告された。しかし,その研究はソプラノの主旋律のみを検討していたため,この効果が主旋律の逸脱によるものか,高音声部の逸脱によるものかは明らかでない。本研究ではバス主旋律の刺激を用いて,ソプラノが逸脱する和音とバスが逸脱する和音に対するERAN振幅を比較した。その結果,ERAN振幅は,ソプラノ声部が逸脱するときにバス声部が逸脱するときよりも大きかった。これは,音楽の統語処理において,高音声部の効果が主旋律の効果よりも優勢であることを示唆している。

著者関連情報
© 2020 日本生理心理学会
feedback
Top