生理心理学と精神生理学
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非優位眼のパターン網膜電位コントラストゲインは抑うつ状態を反映する
竹内 成生関口 浩文宮崎 真
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論文ID: 2308oa

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抄録

我々は,日常的にしばしば負の心理状態を「暗さ」に喩える。これは単なる比喩にとどまらず,抑うつ状態の悪化にともなって主観的な明るさも低下していることが心理学的研究によって報告されている。近年,パターン網膜電位 (Pattern electroretinogram: PERG) を計測した研究により,高い抑うつ状態では網膜電位の応答性が低下していることが報告されてきた。その一方で,これらの実験結果が再現されないとする報告もあり,研究手法の改善の必要性が示唆される。これらの先行研究では,主としてPERGの両眼平均と抑うつ指標との関係が評価されてきた。その一方で,非優位眼と優位眼のあいだでPERGの応答性が異なることを示唆する報告もある。そこで,本研究では,PERGと抑うつ指標との関係を両眼平均,優位眼,非優位眼ごとに評価した。その結果,非優位眼のPERGコントラストゲインでのみ,抑うつ指標のBDIスコアとのあいだに有意な負の相関が認められた。すなわち,本研究の結果から,非優位眼のPERGを計測することにより,従来手法よりも高い感度で抑うつ状態を評価できる可能性が示唆された。

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© 2023 日本生理心理学会
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