右利きの被験者10名から準備電位を記録し, 準備電位に及ぼす運動の目的性の効果を調べた.目的なし条件と目的付加条件の2条件が設定され, 各条件は1セッション80試行の2セッションから構成された.目的なし条件の2セッション終了後, 目的付加条件が2セッション行われた.目的なし条件では, 被験者に対し引き金を右手第2指で随意的に引くように教示した.目的付加条件では, 正解強度を狙って引き金を引くように教示した.正解強度は, 目的なし条件における平均牽引強度値に基づいて設定された.運動終了後には, 聴覚及び視覚フィードバックにより結果の知識を与えた.EEG, EOG, 牽引荷重曲線を磁気記録しオフライン処理した.被験者の運動は強度及び速度ともにセッション間で差が認められなかった.準備電位は目的なし条件ではNS'が明瞭ではなかった.しかしながら, 目的付加条件ではBPとNS'の2成分が明らかにみられた.準備電位の振幅は, BPについては両課題条件間で差がみられなかったものの, NS'は目的付加条件の方が目的なし条件よりも有意に大きかった.運動に関連した物理要因に変化が認められなかったことから, NS'の振幅増大は目的性の有無に伴う心理要因によることが示唆された.