2017 年 3 巻 2 号 p. A_11-A_18
高速道路での逆走事案に対し有効な対策を講ずるには,運転者が逆走に至る過程を把握する必要がある.本研究ではまず,先行研究で提示した IC 流出時逆走に至る過程の仮説を検証した.その結果,目的 IC を通過するなどの行き先間違いが逆走のきっかけである可能性を確認した.この結果から,行き先間違いを防止すれば逆走発生の防止に繋がることが示されたため,次に,行き先間違いの発生要因を調べた.具体的には,カーナビと案内標識の利用状況を考慮して行き先間違いが発生しやすい状況を特定した.そして各状況に属する分析対象者について個人属性や情報収集傾向を調べた.その結果,カーナビの案内を重視して案内標識を参考にしない傾向があること,都市高速道路でカーナビや案内標識を 十分に利用できていないことなどが行き先間違いの発生要因だと把握した.