生理心理学と精神生理学
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仮現運動知覚の能動的過程と受動的過程が視覚誘発電位に及ぼす効果
藤本 清八木 昭宏
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1999 年 17 巻 3 号 p. 173-181

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抄録
本研究では, 3Hzで断続的に提示される光点歩行者を刺激とした2つの実験を行い, 仮現運動知覚の能動的過程と受動的過程が視覚誘発電位 (VEP) に及ぼす効果を検討した.光点歩行者は人間の主要関節を表す10個の小光点から構成され, 断続提示によりそれらの小光点の仮現運動が知覚される.実験1では, 前方歩行 (FW), 後方歩行 (BW), ランダム歩行 (RW), 静止系列 (SS) の4種類の刺激条件の識別を課題とし, 能動的知覚過程の効果を検討した.実験2では, RWとSSを用いて受動的知覚過程と課題負荷の効果を検討した.両実験において, 5つのVEP成分 (N60, P120, Nl85, P210, N280) が運動刺激 (FW, BW, RW) に対して認められた.実験1と実験2の比較から, N60とP210は能動的知覚過程を反映し, N280は受動的知覚過程と課題負荷を反映していることが示された.
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© 日本生理心理学会
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