生理心理学と精神生理学
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視運動性眼振に伴う眼球運動関連電位
藤本 清八木 昭宏
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2003 年 21 巻 3 号 p. 239-244

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抄録

視運動性眼振に伴う眼球運動関連電位について, 急速相の開始時点と終了時点をトリガーとした反応を比較することにより, スパイク電位とラムダ反応を同定した.視運動性眼振を誘発させるために, 23名の被験者に対して, 回転ドラム内壁の全視野格子パタンの水平方向の等速運動を観察させた.格子パタンの運動速度は24deg/sと60deg/sの2条件であった.頭皮上脳電位は後頭葉 (Oz) から両耳朶結合を基準として導出した.実験の結果, 陽性のスパイク電位がOKNの急速相の開始時点をトリガーとした場合に頂点潜時5msで明瞭に認められた.ラムダ反応は両方のトリガーに対して急速相終了後約90msで陽性の頂点電位を示した.しかし, ラムダ反応の頂点潜時を急速眼球運動の持続時間と比較した結果, 急速相の終了と同期している可能性が示された.また, 大きな刺激速度に対して, ラムダ反応の潜時が延長し, 振幅が減衰した.この原因として, 急速相終了直後, すなわち, 緩徐相の初期の追従速度が不十分であったため網膜像に流動が生じ, 視知覚の明瞭性が損なわれたことが考えられた.従って, 随意サッカードによるものと同様に, 視運動性眼振によるラムダ反応が視覚情報処理を反映することが示唆された.

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© 日本生理心理学会
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