抄録
心理生理学の研究では, 生理反応を計測するため様々な装置が用いられる。本論文の目的は, 著者のグループがこれまで独自に開発してきた心理生理学の計測研究や実践に使用する機器を紹介することである。最初にサッカディック眼球運動の終了時点に同期する事象関連電位 (眼球停留関連電位, EFRP) の検出と解析システムを紹介する。心理活動の変化に応じて, リアルタイムにその電位のトポグラフィを表示するシステムを開発した。また, 脳の血流を簡易に計測するインピーダンスCTのプロトタイプを試作した。次に, 臨床と産業場面に応用する脳波のバイオフィードバックの装置を紹介している。三番目は, EMGとEOGによる意思伝達用ワードプロセッサである。今後も, 心理学からの発想による新たな機器の開発が期待される。