生理心理学と精神生理学
Online ISSN : 2185-551X
Print ISSN : 0289-2405
ISSN-L : 0289-2405
時間情報処理と海馬機能
坂田 省吾
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 26 巻 1 号 p. 17-26

詳細
抄録
時間は生体における毎日の活動にとって重要である。タイミングと時間知覚は動物が生きていくうえで基本的なものである。しかしその脳内メカニズムはまだ明らかになっていない。ここでは海馬機能に注目して海馬が時間情報処理に果たしている役割について解説する。海馬領域の電気的活動であるLFP (local field potentials) として訓練や行動の状態に依存した律動的な海馬θ波がよく知られている。これは海馬錐体細胞の同期振動の結果としてLFPに現れるものであり, どのような訓練条件でその同期現象が生じるのかを観察すれば海馬機能の推定もできる。ここでは時間処理を含む非空間的な刺激弁別について考察する。時間情報処理の指揮者の役割として基底核 (basal ganglia) が考えられているが, その情報制御と海馬機能との関連についても注目される。
著者関連情報
© 日本生理心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top