1991 年 9 巻 2 号 p. 67-74
本論は当学会第9回学術大会 (筑波大学, 1991年) における講演の要旨であり, F.H.オルポートがその著書Theories of perception and the concept of structure (Wiley, 1955) において, 知覚の統合原理として展開した構造の概念を説明した.同書は今世紀前半の知覚諸理論の全体的展望と批判として高く評価される.社会心理学者オルポートの構造の概念は, 当然のことながら, 社会的文脈における「外部構造的関連」へと拡大するが, 本論では内部構造としての生理心理学的意義を強調した.