2024 年 2 巻 1 号 p. 3-15
目的:Stabilogram diffusion analysis(SDA)を用いて片脚立位における姿勢制御戦略の発達の特徴を明らかにすることを目的とした。
方法:対象は小児26名(5〜7歳群13名,8〜10歳群13名)と18〜29歳の若年成人(Adult群)14名とした。測定項目は,30秒間の片脚立位保持中の体重心(COM)変数(COM_area,COM高,nCOM_area)とSDA変数(Δtc,Δr2c,Drs,Drl,Hs,Hl),およびSDA変数の決定係数(R2_Drs,R2_Drl,R2_Hs,R2_Hl)とした。長時間領域の解析範囲は,Δtが2〜2.5秒間の0.5 sec条件と2〜10秒間8 sec条件の2条件設定した。
結果:R2_Drlの3群の中央値の範囲は,0.5 sec条件では0.81〜0.96であったのに対し,8 sec条件では0.41〜0.63であり,0.5 sec条件の方が決定係数が高い傾向であった。nCOM_areaはAdult群よりも5〜7歳群の方が有意に大きかった(p<0.01)。DrsはAdult群よりも5〜7歳群の方が有意に大きく(p=0.04),HsはAdult群よりも5〜7歳群の方が有意に小さい値を示した(p=0.01)。
結論:片脚立位課題時にSDAを実施する場合,長時間領域の解析範囲は2〜2.5秒間(0.5 sec条件)とした方が,回帰直線の適合率が高く適していると考えられる。5〜7歳児は姿勢動揺が大きく,Open-loop姿勢制御が優位な制御戦略を利用していることが示唆される。