小児理学療法学
Online ISSN : 2758-6456
最新号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
原著
  • 楠本 泰士, 髙橋 恵里, 鳥生 貴子, 高木 健志, 松田 雅弘, 新田 收
    原稿種別: 原著
    2025 年4 巻1 号 p. 3-10
    発行日: 2025/03/25
    公開日: 2026/03/25
    [早期公開] 公開日: 2025/07/25
    ジャーナル フリー

    目的:本研究は,都内中規模都市の公立発達支援事業所を利用した方の初診面談時の年齢帯ごとの相談内容(主訴)の特徴を明らかにし,専門職に求められる知識に違いがあるかを明らかにすることを目的とした。

    方法:東京都内の中規模都市の公立発達支援事業所にて,過去10年間に初診面談を行った1241件を分析した。対象児の月齢,性別,診断名,センター利用の紹介元,初診面談時の主訴を自由記述で調査し,記述内容を質的記述的分析方法にて分類した。対象を1歳半未満群(86名),1歳半〜3歳未満群(510名),3歳以上群(645名)に群分けし,カイ二乗検定,フィッシャーの正確確率検定にて検討した。

    結果:初診時の主訴は,13カテゴリーにまとめられ,3群間で有意差があったカテゴリーは,「言語発達」,「保育,就学相談」,「多動,不注意,「日常生活」,「行為の問題」,「療育,育児相談」,「情緒の問題」,「運動発達」,「精神発達」の9つあり,有意差がなかったカテゴリーは,「コミュニケーションの問題」,「摂食の問題」,「感覚の偏り」,「視機能」の4つだった。

    結論:児童発達支援に関わる専門職は,自己の職業に関連する専門知識だけでなく,対象児の年代によって相談内容の分布の多いカテゴリーに関する発達過程の知識や対応策を優先的に学ぶ必要性が示唆された。

  • 髙橋 恵里, 楠本 泰士, 片岡 拓己, 柴田 真秀, 小野 洋子
    原稿種別: 原著
    2025 年4 巻1 号 p. 11-19
    発行日: 2025/03/25
    公開日: 2026/03/25
    [早期公開] 公開日: 2025/05/15
    ジャーナル フリー

    目的:福島県の医療・療育施設における小児理学療法の現状と課題を,理学療法士の視点から明らかにすることを目的とした。

    方法:福島県にある医療施設もしくは療育施設に勤務する理学療法士9名(男性4名,小児理学療法経験年数2〜40年)を対象に,小児理学療法の現状と課題に関するインタビュー調査を実施した。KH Coder3を用いて頻出語リストと共起ネットワーク分析図を作成し,概念をまとめて記述した。

    結果:頻出語上位は「理学療法」「子ども」「小児」「病院」「親」であった。共起ネットワーク分析図において9つのグループが示され,現状と課題として抽出された概念は,小児理学療法の治療技術と期間,情報交換のための資金源,社会資源の活用と地域特性,理学療法士間の連携,対象児の成長,他職種間の連携,小児理学療法の経験機会の不足などであった。

    結論:小児理学療法の現状として,親の存在が非常に大きく,小児理学療法の経験機会が不足していた。小児理学療法の課題として,職種内連携と多職種連携,地域の社会資源不足が挙げられた。現状を改善するため,理学療法士は社会資源の把握,連携方法の模索,研修の検討,技術移転事業の実施をしていた。

  • 栗田 梨渚, 藤田 和樹, 菅野 智也, 川端 香, 平谷 美智夫, 小林 康孝
    原稿種別: 原著
    2025 年4 巻1 号 p. 20-30
    発行日: 2025/03/25
    公開日: 2026/03/25
    [早期公開] 公開日: 2025/10/20
    ジャーナル フリー

    目的:自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder:ASD)児の縄跳び動作の運動学的特性を明らかにすることを目的とした。

    方法:6〜9歳の定型発達(Typically Developing:TD)児(男児6名・女児2名)とASD児(男児8名)の各8名を対象とし,連続20回以上の前跳びを課題とした。三次元動作解析装置VICONを用いて計測を行い,身体中心(Center of Mass:CoM)移動距離の平均および変動係数(Coefficient of Variation:CV),動作時の各関節の角度変化量(Range of Motion:ROM=最大値−最小値)およびCVを算出した。

    結果:ASD群はTD群に比べて膝関節屈伸および股関節内外転のROM,骨盤の前後傾斜CV,前後・左右方向へのCoM移動距離が有意に高値を示した。

    結論:ASD児は前跳び動作において膝・股関節の角度変化量が大きく,とくに膝関節屈曲および股関節外転の最大角度が大きかった。また,骨盤傾斜の変動性が大きく姿勢動揺が生じていた。跳躍の際に着地点が偏移していることも明らかとなり,非効率な動作であることが示唆された。

症例報告
  • 平岡 司, 知花 朝恒, 飯塚 隆充, 石川 朋裕, 森川 菜津, 石垣 智也
    原稿種別: 症例報告
    2025 年4 巻1 号 p. 31-40
    発行日: 2025/03/25
    公開日: 2026/03/25
    [早期公開] 公開日: 2026/01/15
    ジャーナル フリー

    目的:家族のニーズに基づく支援を行うための日本版Family Needs Survey (FNS-J)の有用性を,介護者である母親を中心とした事例経過から考察すること。

    事例紹介:対象は2歳時にけいれん重積型二相性急性脳症を呈した8歳女児を介護する母親とその家族である。従来の目標設定ツールに加えてFNS-Jを用いることで,これまで把握できていなかった家族のニーズ(母親の介護負担や睡眠不足,兄の学習障害への対応など)が明らかとなった。多職種カンファレンスを通じて共有された情報をもとに,訪問リハビリテーションの導入や介助方法の検討,兄の学校との連携支援など包括的な支援体制を構築した。

    結果:1年後の評価において介護負担感(BIC-11)は18点から16点へ,社会的ケア関連QOL(ASCOT-Carer)は0.542から0.806へ改善が認められた。

    結論:子どもだけでなく家族のニーズを捉えることの重要性が示された。家族のニーズから捉えた問題に対して介護負担感やQOLなどの評価を行うことで,家族中心のケアに基づく包括的支援に繋がる可能性がある。

  • 飛澤 翔, 奥山 祐香, 小塚 直樹
    原稿種別: 症例報告
    2025 年4 巻1 号 p. 41-47
    発行日: 2025/03/25
    公開日: 2026/03/25
    [早期公開] 公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    背景:MCT8異常症はX連鎖性潜性遺伝による遺伝性の希少疾患であり,成長発達の経過報告は少ない。今回,家庭事情により施設入所となった1症例に対し,GMFM-88を用いた運動機能の評価を行い,変化を捉えながら経過を追い運動機能の向上がみられたため報告する。

    症例:本症例はMCT8異常症の18歳男性(介入当初12歳)。大島分類1,GMFCSレベルⅤ相当。在宅療育が困難となり施設入所。環境変化や新型コロナウイルス罹患などにより機能低下が2度みられたが,多職種での関わり,理学療法,作業療法による運動機能の再獲得,頭頸部コントロール促しなどGMFM-88の結果を踏まえて運動機能への介入を行い,介入当初と6年後を比較して項目Aの「臥位と寝返り」は56.6%が78.4%に,項目Bの「座位」は6.7%が20.0%に変化し,運動機能の向上がみられた。

    結語:MCT8異常症の本症例については,環境変化や体調不良により運動機能が低下したが,多職種連携での関わりや運動の促しなどで,青年期でも運動機能に向上が観察された。

feedback
Top