小児理学療法学
Online ISSN : 2758-6456
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原著
  • 福本 幹太, 萬井 太規, 宮城島 沙織, 佐藤 優衣, 小塚 直樹
    原稿種別: 原著
    2024 年 2 巻 1 号 p. 3-15
    発行日: 2024/03/29
    公開日: 2024/03/29
    [早期公開] 公開日: 2024/01/31
    ジャーナル フリー

    目的:Stabilogram diffusion analysis(SDA)を用いて片脚立位における姿勢制御戦略の発達の特徴を明らかにすることを目的とした。

    方法:対象は小児26名(5〜7歳群13名,8〜10歳群13名)と18〜29歳の若年成人(Adult群)14名とした。測定項目は,30秒間の片脚立位保持中の体重心(COM)変数(COM_area,COM高,nCOM_area)とSDA変数(Δtc,Δr2c,Drs,Drl,Hs,Hl),およびSDA変数の決定係数(R2_Drs,R2_Drl,R2_Hs,R2_Hl)とした。長時間領域の解析範囲は,Δtが2〜2.5秒間の0.5 sec条件と2〜10秒間8 sec条件の2条件設定した。

    結果:R2_Drlの3群の中央値の範囲は,0.5 sec条件では0.81〜0.96であったのに対し,8 sec条件では0.41〜0.63であり,0.5 sec条件の方が決定係数が高い傾向であった。nCOM_areaはAdult群よりも5〜7歳群の方が有意に大きかった(p<0.01)。DrsはAdult群よりも5〜7歳群の方が有意に大きく(p=0.04),HsはAdult群よりも5〜7歳群の方が有意に小さい値を示した(p=0.01)。

    結論:片脚立位課題時にSDAを実施する場合,長時間領域の解析範囲は2〜2.5秒間(0.5 sec条件)とした方が,回帰直線の適合率が高く適していると考えられる。5〜7歳児は姿勢動揺が大きく,Open-loop姿勢制御が優位な制御戦略を利用していることが示唆される。

症例報告
  • 山本 晨平, 吉田 泰子, 押川 達郎, 小川 厚, 井上 貴仁, 塩手 仁也, 藤井 裕子, 伊﨑 輝昌
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 2 巻 1 号 p. 16-23
    発行日: 2024/03/29
    公開日: 2024/03/29
    [早期公開] 公開日: 2023/08/31
    ジャーナル フリー

    背景:現在,ジュベール症候群関連疾患(Joubert Syndrome and related disorders,以下;JSRD)のリハビリテーションに関するエビデンスは不足しており,特に乳幼児期においてリハビリテーションの介入効果が検討された報告は少ない。

    症例紹介:本症例はJSRDに伴う小脳虫部欠損,精神運動発達遅滞を呈した1歳2か月の女児である。本症例のリハビリテーション介入では,小脳性運動失調と乳幼児期の運動発達学的特性を考慮し,母親による約1か月間のホームエクササイズが実践された。その結果,ホームエクササイズを通して座位の安定化と全般的な発達が促進された。

    結論:本報告は早期小児リハビリテーションにおける家族参加の重要性を支持しており,特にJSRDにおける継続的なホームエクササイズの有効性を示唆している。

  • 木村 優希, 阿部 広和, 秋山 亜衣, 樋口 滋, 儀間 裕貴
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 2 巻 1 号 p. 24-32
    発行日: 2024/03/29
    公開日: 2024/03/29
    [早期公開] 公開日: 2024/01/31
    ジャーナル フリー

    目的:近年,共同意思決定や活動・参加に焦点を当てた理学療法介入が注目されている。今回,本人の望む作業選択が可能となる作業選択意思決定支援ソフト(Aid for Decision-making in Occupation Choice ; ADOC)を用いて目標を設定し,目標に対する課題指向型トレーニング(Task-Oriented Training ; TOT)を通じて食事動作が改善した重症心身障害を有する成人の一例を報告する。

    症例と経過:症例は重症心身障害児者施設に入所している20代の男性である。今回,本人にiPadを提示し,ADOCのイラストから本人のやりたい作業の選択を行った。そして生活支援を行う介護福祉士や保育士らと得られた情報を共有し,食事動作に対する反復的なTOTを日常生活内で2か月間実施した。結果,食事動作にて客観的・主観的双方における改善を認めた。

    結論:ADOCを用いて共同で目標設定を行い,目標に対するTOTを協働で,日常的に実施したことで,食事動作に改善が見られた症例を経験した。

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