日本補綴歯科学会雑誌
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原著論文
咬合荷重記録を用いた歯の被圧変位特性の新たな推定法
小澤 宏亮佐藤 裕二北川 昇内田 圭一郎菅原 孝
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2008 年 52 巻 2 号 p. 117-125

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抄録

目的 : 補綴装置に適切な咬合を付与するためには, 咬合時における歯やインプラントの被圧変位量の把握が重要である. そこで, 本研究は個々の歯に加わった咬合荷重と, 過去の歯の被圧変位量のデータから, 歯の相対的な被圧変位特性を推定する手法の開発を目的に検討を行った.
方法 : 被験者は男性8名 (平均28.5歳) とした. 咬頭嵌合位で最大咬みしめ時の左右咬筋の筋活動を100%とした時を100MVCとし, 80, 60, 50, 30, 20, 10 (MVC), の咬みしめを行わせた. また咬合力測定用感圧フィルム (デンタルプレスケール®) で咬合荷重の記録を行った. 各咬みしめ強度における第1小臼歯部の荷重の変化と, 後藤らの「歯の被圧変位特性」のデータから, 第1小臼歯部の変位量を算出し, これをもとに, 第2小臼歯部と第1大臼歯部における各被験歯の被圧変位特性を解析した.
結果 : 第2小臼歯の被圧変位特性は第1小臼歯と同様な傾向を示した. 第1大臼歯では被圧変位特性は似ているものの, 第1, 2小臼歯と比較して同程度変位させるには, より大きな咬合荷重が必要となり, また変位量の増加につれて荷重が大きく増加することが明らかとなった.
結論 : 本研究の結果がこれまでの研究とよく対応していたことから, 個々の歯に加わった咬合荷重と, 歯の被圧変位量の過去のデータから, 個々の歯の相対的な被圧変位特性を推定できる可能性が示唆された.

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© 2008 社団法人日本補綴歯科学会
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