抄録
目的 : 解析時の基準座標系を問わず利用可能な顎運動の評価方法を確立することを目的とし, 6自由度顎運動解析パラメータについて検討を行った.
方法 : 成人男性20名 (平均年齢25.0 ± 8.2歳) の限界運動データを使用した. 解析パラメータは, 主に次の4つである. 顆頭間中点移動距離 : 咬頭嵌合位における顆頭間中点と各顎位における顆頭間中点の直線距離. 顆頭間軸角 : 咬頭嵌合位における顆頭間軸と各顎位での顆頭間軸のなす角. 切歯・顆頭点平面角 : 切歯点と両側顆頭点の3点で構成される平面の, 咬頭嵌合位と各顎位間でのなす角. 下顎運動範囲指数 : 前述の3項目から2つを組み合わせて変換処理を行い, この結果を二次元グラフとした時の積分値.
結果 : 下顎運動範囲指数は対応する各投影面積と有意な相関を示していた (矢状面投影面積との相関 : 矢状面内限界運動ρ = 0.82 (p < 0.001), 前頭面投影面積との相関 : 左側方限界開口路ρ = 0.92 (p < 0.001), 右側方限界開口路ρ = 0.84 (p < 0.001), Spearman rank correlation).
結論 : 下顎運動の6自由度測定結果を基礎とし, 運動時の各顎位と咬頭嵌合位との相対的な位置関係を数値化することで, 基準座標系から独立した形での顎運動の定量的評価が可能となった.