日本補綴歯科学会雑誌
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高フィラー型硬質レジンの色調に関する研究
色調発現に層構成が及ぼす影響
島 弘光川本 善和根本 美佳檜山 礼秀河原 一茂島田 和基八木 庸行桟 淑行五十嵐 孝義
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2003 年 47 巻 1 号 p. 11-19

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抄録

目的: 本研究の目的は, 高フィラー型硬質レジンにより作製したジャケットクラウンの層構成の設定と色調発現との関係を明らかにすることである.
方法: 高フィラー型硬質レジンとしてアートグラス, エステニア, グラディアおよびタルギスを用い, それぞれのデンティン色レジンとエナメル色レジンにより厚さ1.0mmの積層試料を作製した.デンティン層とエナメル層の比率が1.0:0から0:1.0まで等間隔・11種類の比率で層構成の条件を設定し, 色調遮断性および支台歯試料上における色調の測定を行った.
結果: 色調遮断性はすべての試料において認められなかった.エナメル層の厚さを増加し, デンティン層の厚さを減少させるに従い, 明度差の値が徐々に大きくなり, タルギスにおいてその傾向が最も強かった.支台歯試料上での色調については, すべての試料においてエナメル層の厚さを増加し, デンティン層の厚さを減少させるに従い, 明度と黄色傾向が減少する傾向を示した.赤色傾向に関してはエステニアとタルギスは増加傾向を示したが, そのほかの試料はあまり変化がみられなかった.
結論: 以上のことから, 高フィラー型硬質レジンをジャケットクラウンに応用する場合, 層構成を変化させることによる色調調整が可能であるが, その効果は材料によって異なり, また, 層構成によって背景色の影響が変化する可能性があることを考慮する必要が明らかとなった.

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