抄録
目的: 新しいゴシックアーチ描記システムの開発を目的に, 半導体式タッチパッドの特性について検討した.
材料と方法: 半導体式タッチパッドとしてVarsaPad® (Interlink Electronics) を用いた.また, 較正機として, 高剛性・精密型自動ステージSGSP26-100 (XY)(シグマ光機)(以下, XYステージとする) を使用した.XYステージの, X・Y方向の移動量をそれぞれ0, 5, 10, 15, 20mmの組合せで可動させ, 計測ステージに垂直に設置したスタイラスを用いて, パッド上に上記の25点を電気的にマーキングした.マーキングされた位置情報を, Adobe Illustrator® (Adobe Systems In.) を用いてパソコン上で座標値に換算し, 計測値として使用した.その計測値から, VarsaPad®におけるXY各成分の較正係数を求め, その係数をパッド内, パッド間で比較することによって特性を評価し, 臨床応用の可能性を検討した.
結果: VarsaPad ® における位置情報再現性が高いこと, また, パッド上の偏受感特性・器差がないことが確認できた.XYステージの移動距離を規定量とし, パッドから得られた計測値を移動量と表現するときの較正係数は, X成分0.18, Y成分0.22であった.
結論: 半導体式タッチパッドの座標再現性および計測精度は高く, ゴシックアーチ描記システムへの応用に十分であることが明らかになった.