日本補綴歯科学会雑誌
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支台築造の比較統計的観察 第4報
坪田 有史深川 菜穂西村 康安藤 栄里子橋本 興岩並 恵一福島 俊士
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2004 年 48 巻 3 号 p. 394-403

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抄録

目的: 支台築造の術式および材料についての実状を把握する目的で, 1977, 1986, 1993年の調査に引き続き2001年に実態調査を行い, 過去3回の調査結果と比較検討した.
方法: 調査対象は, 2001年2~4月までの間に鶴見大学歯学部附属病院補綴科診療室において支台築造を施されたすべての支台歯と支台築造とした. 調査項目は患者, 支台歯, 支台築造のデータの各項目とした.
結果: 患者総数225名, 支台歯総数311歯が対象で, 生活歯が5%, 失活歯が95%であった. また, 歯質の残存状態では, 残存歯質量が少ないと推察される支台歯が少なくなかった. 支台築造は61%でレジン支台築造が, 39%で鋳造支台築造が選択されていた. レジン支台築造は70%が間接法で, 30%が直接法で行われていた. 鋳造支台築造の合着用セメントは71%で接着性レジンセメントが選択されていた. 鋳造支台築造の築造体は83%で装着前にサンドブラスト処理が行われ, 接着性レジンセメントを使用する場合, 97%で金属接着性プライマーが併用されていた.
結論: 過去3回の調査と比較すると, 今回の調査結果では接着性材料が選択された頻度は高く, 信頼性が高まった象牙質接着を使用して脱落や歯根破折に対する対策を積極的に講じていることがわかった.

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