2004 年 48 巻 3 号 p. 457-460
症例の概要: 患者は旧義歯が脱落しやすいため, 新たに義歯の製作を希望して来院した. 旧義歯は吸着が認められず, 上顎顎堤は広範囲にフラビーガムが認められ, 下顎顎堤は陥凹していた.
考察: フラビーガムや高度な吸収を伴う顎堤では, 咬合による義歯の沈下や推進現象により安定が欠如する. フラビーガムを有する症例では咬合による義歯の沈下を抑制するために, 粘膜の沈下が少ない領域に咬合を与えることが重要である.
結論: 本症例では, 顎堤に対する力の加わり方を考慮し, 義歯を製作した結果, 義歯の安定と患者の満足が得られた.