日本補綴歯科学会雑誌
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固定性ブリッジを用いて前歯部の咬合と審美性を回復した唇顎口蓋裂症例
田中 みか子
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2004 年 48 巻 3 号 p. 465-468

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抄録

症例の概要: 症例は16歳の両側性唇顎口蓋裂の女性. 212が欠如, 上顎の劣成長が著しく, 上顎左側中切歯切縁が下顎前歯よりも15mm後退し, 顎裂部も陥凹していた.
考察: 患者は固定性補綴物を望んでいたが, 矯正治療前の所見では, 固定性ブリッジは不可能と考えられた. しかし, 補綴担当医として顎裂部への骨移植および転位している矮小歯の欠損部への自家移植を提案したところ, これらが受け入れられ, 最終的に患者の希望する固定性ブリッジによる補綴治療を行うことができた.
結論: よい治療結果を得るためには, 補綴医ができる限り早期に唇顎口蓋裂治療チームに加わり, 補綴学的な見地から治療方針決定に関与していくことが肝要であることが示された.

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