日本補綴歯科学会雑誌
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右側上顎洞腫瘍術後に対して顎補綴治療を行った1症例
鈴木 啓介
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2006 年 50 巻 3 号 p. 453-456

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抄録

症例の概要: 患者は右側上顎洞部歯肉癌により同部部分切除術を施行した71歳の女性. 欠損部に対して創面の状態を考慮しながら顎義歯を作製した.
考察: 義歯装着後3年6カ月経過している. その間に鉤歯である上顎左側犬歯の継続歯が脱離したため, 同歯の支台装置をOPアンカーへ変更した. その後同歯の根端に一部破折を生じるも患者本人の希望に より保存している. また間接法のリラインを行うことにより, 義歯の維持力は改善し, 咀嚼, 発音, 嚥下機能には問題なく使用されている.
結論: 右側上顎洞腫瘍術後に対して早期に顎義歯を作製し, 機能回復を試み, 改善できた症例であるが, 残存歯の長期保存が期待できないために今後の対処の重要性が示唆された.

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