日本補綴歯科学会雑誌
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脱アセチル化キチンーTYPE Iコラーゲン複合化ゲルの骨髄由来未分化間葉系細胞への影響
加藤 秀昭若林 克敏岩佐 文則川和 忠治立川 哲彦
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2006 年 50 巻 4 号 p. 542-551

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抄録

目的: 骨組織再生のための新たな生体材料の開発や成長因子の応用が期待されている. そこで, 本研究は各種成長因子の担体として高分子複合化材料の作製を行い, この材料の骨髄由来未分化間葉系細胞への影響を検討した.
方法: 脱アセチル化キチン50とType I-Aコラーゲンをクーロン反応させることで, DAC50-TYPEIコラーゲン複合化ゲルを作製した. そして, この材料内にて骨髄由来未分化間葉系細胞の三次元培養を試み, 細胞増殖そして分化という観点から細胞増殖性試験, H-E染色による形態学的観察, ALP染色によるALP活性の観察およびRT-PCR法によるBSP, ALP, Osteopontin, Osteocalcin, およびGAPDH遺伝子の発現を検索した.
結果: 細胞増殖性試験では細胞増殖は認めたが, 著しい増殖傾向を示すものはなかった. H-E染色では三次元的な細胞伸展所見を呈した. ALP染色では明らかなALP陽性所見が観察された. また, RTPCR法ではOsteocalcin以外の標的遺伝子の発現を確認した.
結論: 今回作製した材料は骨髄由来未分化間葉系細胞に対して為害作用がなく, 三次元培養を可能とし, 骨組織再生への新たな生体材料として期待できる物質であることが示唆された.

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