日本補綴歯科学会雑誌
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電解酸性機能水の義歯床用材料への影響について
松崎 孝徳
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2006 年 50 巻 4 号 p. 552-560

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抄録

目的: 電解酸性機能水を義歯の洗浄・消毒に応用することを目的として, 義歯床用材料を各種電解酸性機能水中に浸漬し, その表面粗さ, 光沢度, 色差の経時的変化について比較検討を行った.
方法: 加熱重合レジン1種類, 常温重合レジン2種類を電解酸性機能水4種類, コントロールとして水道水中に浸漬し, 浸漬前, 浸漬後6時間, 12時間, 24時間, 48時間, 7日後, 14日後, 30日後の表面粗さと, 光沢度, 及び色差を測定した. また, 30日後の各材料間, 浸漬液間において二元配置分散分析を行った. 浸漬液は24時間ごとに新鮮な溶液に交換した.
結果: 表面粗さ, 光沢度は, いずれの組み合わせにおいても有意差はみられなかった. 色差は浸漬7日後までは有意差は認められなかったが, 浸漬14日後ではコントロールと2種類の電解酸性機能水間で有意差が認められた. また, 浸漬30日後ではコントロールと3種類の電解酸性機能水との間で有意差が認められた. また電解酸性機能水の間でも4組の組み合わせで有意差が認められた.
結論: 以上のことから, 電解酸性機能水が義歯床用レジンに与える影響は色差で若干の差がでたものの表面粗さ, 光沢度では水道水と比較しても有意な差異は認められず, また, 加熱重合レジンー常温重合レジン間で有意な差異もみられなかったことから, 電解酸性機能水を用いた洗浄消毒法は今後義歯の洗浄, 消毒に十分応用できることが示唆された.

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