日本補綴歯科学会雑誌
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歯冠修復に際してBiologic Widthを得るために意図的再植を用いた症例
佐藤 華子
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2006 年 50 巻 4 号 p. 561-564

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抄録

症例の概要: 患者は上顎右側中切歯の唇側歯肉の腫脹を訴えて来院した38歳の男性. 患歯マージン部では唇側に限局した軟化象牙質が認められた. 歯冠補綴に先立ち, 限局矯正を行い, 歯を意図的に再植させることで歯肉縁上に健全歯質が得られたので, 歯冠補綴を行った.
考察: 歯冠補綴装着後も動揺はM0~M1程度で変化はない. また, 歯肉の歯冠側への移動はみられるものの, 患者に違和感はなく機能的にも問題はない. 半年毎のリコールでは, 咬合状態の変化に注意して経過観察を行っており, 現在までエックス線写真上では骨の吸収等認められず, 良好な経過をたどっている.
結論: 意図的に再植を行うことにより, 歯冠補綴前に良好な歯周組織を得ることが出来た.

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