基礎理学療法学
Online ISSN : 2436-6382

この記事には本公開記事があります。本公開記事を参照してください。
引用する場合も本公開記事を引用してください。

社会的敗北ストレスモデルラットでは侵害刺激に対する脊髄後角表層ニューロンの興奮性が増大する
井上 創太太田 大樹田口 徹
著者情報
ジャーナル フリー 早期公開

論文ID: JJPTF_2022-03

この記事には本公開記事があります。
詳細
抄録

 社会的敗北ストレス(以下,SDS)は痛覚過敏を惹起するが,その病態機構は未解明である。本研究では,SDS 誘発性疼痛の脊髄機構の解明を試みた。SDS 誘発性疼痛モデルは,Sprague-Dawley ラットに対し,体格の大きなLong-Evans ラットを直接および間接的に接触させて作製した。ホルマリンテストを用い,モデルラットの疼痛関連行動を調べた。また,ホルマリンによる痛み刺激後の脊髄ニューロンの興奮性を定量化するため,神経活性化マーカーであるc-Fos 陽性細胞のL3 ~L5 腰髄後角での分布と数を調べた。SDS モデルでは,ホルマリンテストの第Ⅱ相において疼痛関連行動が顕著に亢進し,侵害受容に重要な後角表層におけるc-Fos 陽性細胞数が増加した。これらの結果より,SDS 誘発性疼痛モデルラットでは痛み刺激に対する脊髄後角表層ニューロンの興奮性が増大し,これが疼痛関連行動の亢進にかかわると考えられた。

著者関連情報
© 2022 日本基礎理学療法学会
feedback
Top