基礎理学療法学
Online ISSN : 2436-6382
早期公開論文
早期公開論文の5件中1~5を表示しています
  • 武内 彩佳, 谷 浩明, 渡邉 観世子
    原稿種別: 原著
    論文ID: JJPTF_2023-12
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/22
    ジャーナル フリー 早期公開

    【目的】本研究は妊婦転倒予防のための動作指導の立案を目指し,妊娠後期の体型における転倒の要因を検討した。【方法】健常若年女性20 名を対象に,妊婦体験ジャケット着用による運動イメージの正確性,転倒恐怖感(ABC scale),またぎ動作(5 cm・15 cm/ 荷物把持の有無)と歩行時の足部クリアランスの変化を計測した。【結果】妊婦体験ジャケット着用時には転倒恐怖感が高まり,10 m 最大歩行課題の運動イメージでは過小評価を示した。またぎ動作では妊婦体験ジャケットの有無にかかわらず,荷物を把持した条件で引き込み足の足部クリアランスが増加した。また低い障害物をまたぐ際には,妊婦体験ジャケット着用時に有意に足部クリアランスが低下した。【考察】妊娠後期の体型は転倒リスクが高まることが示され,その背景には,荷物把持時の過剰な下肢挙上に伴う姿勢の不安定さや低い段差をまたぐ際の足部クリアランスの不十分さが影響していると考えられた。

  • 木下 晃紀, 山本 吉則, 嘉戸 直樹, 鈴木 俊明
    原稿種別: 原著
    論文ID: JJPTF_2023_10
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/09
    ジャーナル フリー 早期公開

    感覚が障害されると運動調節が困難になるため,運動療法の際に手掛かりを設置する工夫を行う。本研究は,体性感覚を手掛かりに運動調節する際の体性感覚機能への影響を体性感覚誘発電位にて検討した。対象は健常成人20 名とした。課題は1 Hz の頻度で行う0~20°までの母指掌側外転の反復運動とした。non-target 課題は目標を置かず,target 課題のみ正確な運動調節の手掛かりとして20°の位置に触知可能な目標を置いた。N9,N13 振幅は安静時と両課題で変化を認めず,N20 振幅は安静時と比べて両課題,target 課題と比べてnon-target 課題で低下した。目標角度からの絶対誤差はnon-target 課題と比べてtarget 課題で減少した。随意運動中は体性感覚入力が抑制され,一次体性感覚野由来のN20 振幅が低下すると言われているが,target 課題は触覚を基に正確に運動調節するため,non-target 課題よりも抑制作用が減弱したと考えた。

  • 寺田 秀伸, 小島 拓真, 高須 千晴, 川端 空, 二瓶 孝太, 高柳 清美, 金村 尚彦, 村田 健児
    原稿種別: 原著
    論文ID: JJPTF_2023-08
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/01/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    【目的】前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament:以下,ACL)の損傷後における保存療法の実現にはACL を構成する線維芽細胞の活性化が必要である。そこで隣接する脂肪組織である膝蓋下脂肪体に着目し,細胞間相互作用によるACL 由来線維芽細胞の活性化を検証することを目的として培養実験を行った。【方法】Wistar 系雄性ラットのACL から線維芽細胞を分散し,第3 継代の細胞を実験に用いた。単培養を行うMono-culture 群と,膝蓋下脂肪体との共培養を行うCo-culture 群に対し,生体外創傷治癒試験およびRealtime qPCR 解析による遺伝子発現量の調査を行った。【結果】生体外創傷治癒試験では,Mono-culture 群と比較しCo-culture 群において創傷部への有意な細胞浸潤を認めた。しかし,浸潤した細胞数に差は認めず,線維芽細胞の増殖や遊走に関与するTGFβ1 の遺伝子発現量にも有意差を認めなかった。【結論】膝蓋下脂肪体との共培養によりACL 由来線維芽細胞の遊走能が向上することが示唆されたが,そのメカニズムについてはさらなる解析が必要である。

  • 山本 怜, 岡 真一郎, 今田 沙也夏, 髙野 吉朗
    原稿種別: 原著
    論文ID: JJPTF_2023-14
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2023/12/23
    ジャーナル フリー 早期公開

    【目的】胸腰背部に対する持続的押圧刺激(Continuous Pressure Stimulus:以下,CPS)が腸蠕動音(Bowel Sound:以下,BS),自律神経活動に与える影響について検討した。【方法】対象は健常女性12 名(平均年齢22.5 ± 1.3 歳,身長1.56 ± 0.05 m,体重51.8 ± 4.2 kg,BMI21.4 ± 1.7 kg/m2)とした。評価項目は,排泄状況の問診および排泄のQOL,BS,心電図,血圧(BP)とした。胸腰背部へのCPS は,30 mmHg で15 分間とした。CPS 前後の比較は,BS,心拍数(以下,HR),心拍変動解析は二元配置反復測定分散分析および多重比較法としてFisher's PLSD,BP は対応のあるt 検定を用いて分析した。【結果】CPS 前後の単純主効果については,介入群ではCPS後5分でBS,LF,LF/HF が有意に上昇し,コントロール群ではCPS 後5 分,10 分でHR が有意に減少したが,両群間で交互作用はなかった。【結論】胸腰背部へのCPS は,生理的な範囲での腸蠕動運動を誘発することが示唆された。

  • 林 哲弘, 高崎 浩壽, 末廣 健児, 石濱 崇史, 鈴木 俊明
    原稿種別: 原著
    論文ID: JJPTF_2023-09
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2023/12/13
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究は,運動観察時に提示される運動の筋収縮強度に対する主観的認識の違いが脊髄運動神経機能の興奮性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。対象者は健常成人22 名とし,F 波は右母指球上の筋群より導出した。測定の流れは,安静時のF 波を1 分間測定し,4 分間の休息後,運動観察時のF 波を1 分間測定した。観察課題は,母指の内転・外転運動(無負荷映像)と2 種類のセラバンドで母指に負荷を与える(低負荷映像・高負荷映像)とした。また,対象者の認識に基づいて,主観的高負荷,主観的低負荷,主観的無負荷に分類し,各条件間の振幅F/M 比相対値を比較した。振幅F/M 比相対値は,主観的無負荷・低負荷条件と比較し主観的高負荷条件で増加した(p <0.05)。結果より,運動観察において対象者に強い筋収縮が必要な運動であると認識させることで脊髄運動神経機能の興奮性は増加することが示唆された。

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