論文ID: JJPTF_2023-01
本研究は自然発症型変形性膝関節症(以下,膝OA)を呈する老化促進マウス(SAMP8)を用いて,トレッドミル運動と水泳がOA病態,関節可動域,横径,歩容に及ぼす影響を調べ,運動効果の違いを明らかにすることを目的とした。マウスを非運動群,トレッドミル運動群,水泳群(各6匹)に無作為に分類した。トレッドミル運動は速度10~12 m/min,水泳は水温37~38℃で,15分/ 日,週5日,6週間実施した。非運動群と比較して,両運動群は膝関節可動域や歩幅の改善を示した。さらにII 型コラーゲン陽性軟骨細胞の増加,MMP-13陽性軟骨細胞の減少,滑膜のTNF-α陽性細胞の減少を認めた。特に水泳群の歩幅は有意な改善を認め,軟骨恒常性維持に重要なタンパク質であるII型コラーゲン陽性軟骨細胞は有意に増加していた。本研究は,運動が加齢による軟骨変性を緩和し,関節可動域や歩容を改善させることを示した。また,水泳が膝OA軟骨の恒常性維持や歩容改善に有益であることを示唆した。