基礎理学療法学
Online ISSN : 2436-6382
母指で正確に運動範囲を調節する際に体性感覚誘発電位のgating量は低下する
木下 晃紀山本 吉則嘉戸 直樹鈴木 俊明
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ジャーナル フリー 早期公開

論文ID: JJPTF_2023_10

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抄録

感覚が障害されると運動調節が困難になるため,運動療法の際に手掛かりを設置する工夫を行う。本研究は,体性感覚を手掛かりに運動調節する際の体性感覚機能への影響を体性感覚誘発電位にて検討した。対象は健常成人20 名とした。課題は1 Hz の頻度で行う0~20°までの母指掌側外転の反復運動とした。non-target 課題は目標を置かず,target 課題のみ正確な運動調節の手掛かりとして20°の位置に触知可能な目標を置いた。N9,N13 振幅は安静時と両課題で変化を認めず,N20 振幅は安静時と比べて両課題,target 課題と比べてnon-target 課題で低下した。目標角度からの絶対誤差はnon-target 課題と比べてtarget 課題で減少した。随意運動中は体性感覚入力が抑制され,一次体性感覚野由来のN20 振幅が低下すると言われているが,target 課題は触覚を基に正確に運動調節するため,non-target 課題よりも抑制作用が減弱したと考えた。

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© 2024 日本基礎理学療法学会
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