論文ID: JJPTF_2024_S5
姿勢制御を改善する介入方法として,感覚フィードバック練習が古くから用いられている。感覚フィードバック練習には主として,視覚,聴覚,体性感覚が利用される。しかし,これまでの研究は視覚フィードバック練習に焦点を当てたものがほとんどであり,運動学習に効果的な介入方法はいまだ明らかになっていない。筆者らは随意的な重心移動を伴う姿勢制御課題を用いて,視覚フィードバック練習および聴覚フィードバック練習の学習効果について検証してきた。一連の研究結果から,視覚フィードバック練習は姿勢制御課題の運動学習を阻害する可能性があること,視覚フィードバック練習を用いて学習効果を得るためには視覚フィードバックに何らかの制限を加える必要があること,姿勢制御課題の運動学習において聴覚フィードバック練習が効果的であることが明らかになった。これらの知見は,姿勢制御障害に対する効率的な感覚フィードバック手法の開発に貢献する。