2020 年 20 巻 1 号 p. 17-25
研究目的:A認知症看護認定看護師教育課程の修了生を対象に,研修前の認知症看護に関する困難が研修中の講義や演習を経て行う臨地実習を通してどのように変化したのかを明らかにすることである.
研究方法:認知症看護認定看護師12名にフォーカス・グループ・インタビューを行った.
結果及び考察:研修前の参加者は,認知症の人への関わりの根拠がわからないために他者に関わりの根拠を説明できず,認知症の人の思いを中心とした看護を他者と共有できない困難を抱えていた.実習中の参加者も認知症の人を多角的に分析できず,それを言語化する困難に直面したが,自らの看護を問い直し,認知症の人を全体として捉える視点へ変化した.修了後の参加者は,認知症の人を捉える視点を他者に伝え,認知症の人の思いを中心とした看護ができるようになった.しかし,認知症の人の思いを中心とした看護を言語化して他者と共有する困難は継続しているため,その能力を高める講義や演習を認定看護師教育課程に加えていく必要がある.