2022 年 23 巻 1 号 p. 46-54
本研究の目的は,肺がん患者の治療に関連した経験に関する研究の動向と知見を明らかにし,今後の看護実践と研究の方向性の示唆を得ることである.医学中央雑誌web版(ver.5),CINAHL with Full Text, MEDLINE with Full Textを用いて「肺がん“lung cancer”」「患者“patients”」がタイトルに入る2015年以降に発表された原著論文を検索し,26文献を分析対象とした.治療別に患者の経験の記述を抽出し,類似の内容でまとめて整理した.その結果,薬物療法を受ける患者を対象とした文献が最も多く,標的療法や免疫療法で生存期間が延長されたことによって生じる新たな不確かさの様相や満たされないニーズが明らかになった.標的療法や免疫療法を受ける患者は増えており,治療によって延長された難治性がんを生きる患者の経験についてさらなる研究が必要であることが示唆された.