日本赤十字看護学会誌
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精神科病院における身体拘束の課題と最小化を目指すために必要な要因—国内の文献検討を通して—
岩澤 敦史井上 善行
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2022 年 23 巻 1 号 p. 36-45

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抄録

本研究の目的は,国内の文献検討を通して現在行われている身体拘束への課題を整理し精神科病院における身体拘束最小化を目指すための必要な要因や対策に対して一定の知見を得ることである.医学中央雑誌web版を用いた文献検索を行い,2000~2021年に発表された文献から,本研究のテーマに即した19の文献について検討した.19の分析対象文献から23件の課題内容が抽出でき,「精神科スタッフの葛藤や身体拘束解除に伴う不安の解消」「認知症および高齢患者増加に伴う安全の確保」「身体拘束最小化に向けたデータの蓄積」「人員配置や医療者の意識・組織風土の変容」の4つのカテゴリに課題を分類できた.本邦の身体拘束件数は諸外国とは逆行して増加傾向にあるため,課題解決に向けて様々な専門性のもと広い公共圏で議論を行い,研究機関と現場施設が連携して必要以上の身体拘束を実施しない状態の実現を目指していくことが重要である.

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© 2022 日本赤十字看護学会
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