目的:病院に勤務する女性看護職が,妊娠継続に大きな問題を感じることなく過ごせた職場での体験を明らかにする.
方法:平成27年~29年度日本学術振興会科学研究費補助金(基盤研究(C)15K11569)「病院看護職の個人および職場の特性と妊娠・出産に関する階層モデル」第一段階で面接調査を行った28名のうち,大きな問題がなく妊娠期を過ごせた10名のデータの2次分析を行った.
結果:妊娠前の体験では研究参加者は子どもをもつことに迷いはなく,看護は好きなので,身近なロールモデルを参考に妊娠しても就業継続できると考えていた.妊娠中の体験では,職場に上司の配慮や妊娠はお互い様という雰囲気があり,同僚に相談しながら自分のペースで役割を遂行していた.
結論:研究参加者は,妊娠と就業の両立は自然のことと受け止め,妊娠中も自らの身体変化を理解し主体的に周囲と業務などを調整することで役割を果たせると考えていた.また,上司や同僚の理解,妊娠・出産を受容する職場の雰囲気は,研究参加者が脅かされることなく能力を発揮できる環境となることが示唆された.