2024 年 25 巻 1 号 p. 88-95
筋萎縮性側索硬化症により意思疎通が困難な閉じ込め症候群の患者の意思を,訪問看護師がどのように理解し,ケアをしているかを明らかにすることを目的とした.TLS患者2名をケアしている訪問看護師4名に対して参加観察と半構造化面接を行った.結果,患者の意思の理解に関するカテゴリー《目の表情をよく見て調子の良し悪しを見分ける》《身体的なサインから本人の状態を確かめる》《TLSになる前からの患者との関わりを活かして患者の辛さを察する》と,患者の意思を踏まえたケアに関するカテゴリー《心地よさを感じてもらうケア》《話しかけて「今」を感じてもらい「自分」を感じてもらう》《その人らしさを認めて伝える》《家族の健康を見る》が明らかになった.訪問看護師は,目の表情から患者の調子の良し悪しと患者の思いを解釈してケアを行っていた.