目的:ICU熟練看護師の人工呼吸器装着患者に対する呼吸音聴診では,どのような手技や内容が選択され,どのような経験があったのかを明らかにする.
方法:ICU熟練看護師9名に半構成的面接を行った.面接結果は呼吸音聴診における手技や内容,ICU熟練看護師の経験に基づいて分類,カテゴリー化した.
結果:ICU熟練看護師が人工呼吸器装着患者に対し実践している呼吸音聴診として,【患者の苦痛緩和を目的とした多面的な情報に基づく呼吸音の予測や選択的聴取】等の4カテゴリー,20サブカテゴリーが示された.経験は【呼吸音の解釈が呼吸ケアと病状変化に及ぼす影響の理解】等の4カテゴリー,9サブカテゴリーが示された.
結論:ICU熟練看護師は,人工呼吸器装着患者の苦痛緩和のため,多面的な情報に基づいて呼吸音を予測・確認し,病態や体位に応じて聴診部位や頻度を選択し,適切なタイミングで聴診していた.これらは呼吸音聴診に基づく呼吸ケアが,人工呼吸器装着患者に与える影響を理解した経験を通し精錬されていると捉えられた.
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