2011 年 30 巻 2 号 p. 82-88
近年,来院時心肺停止症例の死因検索のため,死後画像診断の有用性が報告されている。しかし死後画像診断は未だ一般的ではなく,血液検査によって死因の診断を行っている施設も多い。今回われわれは,死後画像診断を用いてトロポニンI値(TnI)の測定意義を検討した。
来院時心肺停止患者でトロポニン陽性となった患者35例のうち,少なくとも8例(22.9%)が急性心筋梗塞以外の疾患が原因で死亡しており,TnI陽性を持って急性心筋梗塞と診断することはできない。しかし,死後画像診断やカットオフを高値に設定することにより,トロポニンによる急性心筋梗塞の診断の特異度が上昇する可能性が示唆された。