蘇生
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高肺血流量を伴う先天性心疾患の心肺蘇生
―換気をどのように管理するか?―
金子 武彦大脇 明
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1999 年 18 巻 2 号 p. 128-131

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抄録

肺高血圧を伴った心内膜症欠損症, 左心低形成症候群, 心室中隔欠損症の3症例の心肺蘇生を経験し, うち2例は不幸な転帰をとった。これらの疾患では, 高濃度酸素投与は肺血管抵抗の低下や動脈管の閉鎖を, 低二酸化炭素血症は肺血管抵抗の低下をもたらすので, 蘇生中・直後の換気条件の設定が蘇生の効果に影響する。臨床では, 蘇生開始時の100%酸素投与と過換気はやむをえないが, 心拍再開後は脈波型酸素飽和度計による動脈血酸素飽和度の値と頻回の心エコーの所見を指標に可及的に吸気酸素濃度を下げつつ, 中枢神経系への影響も考慮して二酸化炭素分圧を調節するような換気条件の設定が病態に則した蘇生法と思われる。先天性心疾患患者を扱う施設では, これらの疾患に特有な肺循環動態を考慮した心肺蘇生を念頭に置く必要がある。

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© 日本蘇生学会
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