抄録
当院および関連病院で急性喉頭蓋炎と診断できずに窒息死した成人の2症例を報告した。さらに, 本邦における急性喉頭蓋炎の文献調査を行った。1979~1998年までの20年間で846例の報告があり, 大部分は成人症例であった。94例 (11.1%) で気道確保が行われ, 12例 (1.4%) が死亡している。たとえ咽頭所見が軽度であっても, 著しい咽頭痛, 嚥下困難, 呼吸困難を伴う場合は絶えず急性喉頭蓋炎を疑う必要がある。ありふれた疾患ではないが, 急速に気道閉塞を生じ窒息死することもあり, 耳鼻科以外の一般臨床医に対する啓蒙が重要である。