日本鼻科学会会誌
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原著
鼻副鼻腔に進展した前頭蓋底髄膜腫の2症例
山岸 達矢野村 智幸奥村 仁石岡 孝二郎佐藤 裕子大野 雅昭髙橋 姿
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2012 年 51 巻 1 号 p. 24-29

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抄録

髄膜腫は成人の頭蓋内に好発する良性の腫瘍であるが,頭蓋外への進展を伴うこともある。今回われわれは頭蓋内から鼻腔と副鼻腔へ進展した髄膜腫の2症例を経験した。異なるアプローチ法を用いて,後遺症をきたすことなく病変を摘出できた。
1例目は62歳男性である。前頭蓋底の髄膜腫摘出術後に,性格変化,尿失禁がみられ,検査の結果では髄膜腫の再発および腫瘍の鼻腔と副鼻腔内への進展を認めた。二期的手術を計画,実行した。まず,脳神経外科医による頭蓋内腫瘍摘出術と前頭蓋底再建術を施行し,後日改めて耳鼻咽喉科医がナビゲーションを用いた内視鏡下鼻副鼻腔手術を行った。
2例目は21歳女性である。MRIで両側聴神経腫瘍および前頭蓋底髄膜腫を偶然に発見され,NF IIと診断された。髄膜腫は前頭蓋底から副鼻腔および左眼窩内へ進展していた。鼻内からのアプローチは眼窩内合併症のリスクが高いため,ナビゲーションを併用した前頭開頭アプローチで一期的に腫瘍を摘出した。頭蓋内腫瘍は完全に摘出され,副鼻腔内と左眼窩内の腫瘍は一部残存した。術後一過性に複視を認めたが,経過は良好であった。

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