日本鼻科学会会誌
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原著
当科における鼻副鼻腔乳頭腫に対する内視鏡下鼻副鼻腔手術の経験
―ナビゲーションシステムの使用経験を含めて―
三好 拓志池田 浩己樋渡 直鈴木 千晶竹林 慎治三浦 誠
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2012 年 51 巻 1 号 p. 8-14

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抄録

鼻副鼻腔内反性乳頭腫は良性腫瘍であるが,再発しやすく,癌化・癌合併の可能性もあり,初回から根治的な切除が必要とされている。以前は外鼻切開が主流であったが,内視鏡下鼻副鼻腔手術(以下ESS)の進歩に伴い,初回手術はESSで行われる場合も増えてきている。またESS支援機器としてのナビゲーションシステムの使用が,術者の負担を軽減し,安全かつ確実な切除に貢献している。当科では,2004年9月から2010年10月にかけて13例の乳頭腫症例を経験し,2006年10月からはナビゲーションシステムを導入し,活用している。術後Krouse分類はT2が9例,T3が3例,T4が1例であった。再発は4例にみられ,いずれもKrouse分類は術前術後ともにT2であった。再発は,眼窩内側壁の近傍,膜様部前方,上顎洞前壁等の重要構造物の近傍やESSで操作しづらい部位に認めた。上顎洞内再発病変に対してはCaldwell-Lucを併用し切除した。今後は再発症例を検討し,ハイリスク症例には初回からCaldwell-Luc等を適応することも考えている。癌合併は1例にみられ,外鼻切開による追加切除と放射線化学療法による治療を速やかに施行した。

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