2016 年 55 巻 4 号 p. 524-527
涙嚢鼻腔吻合術(DCR)では,術後に涙管チューブを上下涙点から挿入し,涙嚢開窓部を通して鼻内に留置することが多い。我々は以前から内視鏡下に涙嚢を鼻腔から開窓したのちに同部にT型シートを留置している。この方法では,涙点の操作は必要ないため,耳鼻咽喉科単独で容易にDCRが行える利点がある。手技として,鼻腔側壁粘膜に切開を加え粘膜弁を剥離し,ドリルにて上顎骨前頭突起および涙骨を削開し,涙嚢から鼻涙管にかけて露出したのち,垂直に切開を加え観音開きにし,涙嚢開窓部にT字型に作成したペンローズドレーンを留置する。最後に形成した粘膜弁にて覆う。シートは2週間から1ヵ月で抜去している。経過を追えた17例20側に対して検討を行った。術後の再発例は2側であり,成功率は90%であった。DCRにおけるT型シート留置術は,耳鼻咽喉科医にとって手技として容易であり,勧められる方法である。