日本農村医学会雑誌
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原著
クレゾール石鹸液の東濃地区での市中販売の現状と在り方
──クレゾール中毒患者の臨床経験を通じて考える──
大林 浩幸西尾 政則安藤 操吉田 正樹野坂 博行山瀬 裕彦
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2004 年 53 巻 4 号 p. 660-665

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抄録

 今回我々は, 使い切れず自宅にあった500mlボトル入りのクレゾール石鹸液残液を自殺企図にて服用した, うつ病患者を経験し, 日常的に一般家庭向けに販売されているクレゾール石鹸液の在り方に疑問を感じたので調査した。
 岐阜県東濃地区4市(瑞浪市・土岐市・多治見市・恵那市)の全一般薬局・薬店128店における, クレゾール石鹸液の販売・在庫状況を電話調査した。
 調剤のみを扱う薬局を除いた一般薬局・薬店では, その約8割がクレゾール石鹸液を販売していた。販売している薬局では, 成人の推定致死量250mlを上回る500mlボトルが平均2本以上販売されていた。
 一般家庭の用途で500mlボトルを一度に使い切ることは通常稀であり, 使用後に自宅に置かれる残液が中毒事故などの原因となる可能性があり, 500mlボトルの一般への販売は望ましくないと考える。また, 販売時には専門知識を持つ薬剤師が, 使用者に直接対面し, その毒性や取り扱い方を十分に指導する必要がある。

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© 2004 一般社団法人 日本農村医学会
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