日本農村医学会雑誌
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報告
一般外科手術における術後肺血栓塞栓症予防のための周術期管理
重田 匡利久我 貴之須藤 学拓山下 晃正森景 則保小林 哲郎中山 富太藤井 康宏
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2006 年 54 巻 6 号 p. 887-892

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抄録

 近年本邦においても術後肺血栓塞栓症(以下PE)は増加傾向にあり,その予防は重要である。2003年7月から2004年8月まで我々は203例の全身麻酔下手術患者に対して,弾性ストッキング(以下CS)と間欠的圧迫器(以下IPS)を用いた周術期管理を行なった。我々の管理の効果とPE予防との関連において,PE発生率,予後,合併症およびコスト,利益等について検討した。この結果,致死的PE発生は無かった。1人の患者において術後SpO2低下,呼吸困難をきたしたが肺血流シンチ検査でPEは否定された。合併症として,2人にCSによる接触性皮膚炎,ほか持続硬膜外麻酔カテーテルを留置した1人にヘパリン投与後一過性の対麻痺をきたした。2004年4月より肺血栓塞栓症予防管理料加算が認められるようになり,ガイドラインも示されている。CSとIPCを用いた周術期管理は一定の予防効果が期待された。しかしヘパリン投与は重篤な合併症発生の可能性があり十分注意すべきである。

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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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