日本農村医学会雑誌
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看護研究報告
回想法の効果を検証する
——高齢者の思い出へのアプローチ——
林 明美鈴木 麻希山本 千歳平山 敬祐浅井 直美
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2007 年 55 巻 5 号 p. 480-486

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抄録

 回想法は,高齢者の精神安定や認知症状の軽減と安定に有効と言われている。当療養型医療施設では認知症高齢者の入所者が多く,施設の行事を運営するには困難なことが多くなってきた。そこで,これらの症状の改善を目的として高齢者1名,認知症高齢者7名の計8名を対象としてグループ回想法を行なった。1) DMAS,2) MOSES,3) NMスケールの3種類評価法を用い,回想法前後で評価を数値化するとともに実施中の対象者の言動や表情を記録に残した。
 回想法実施では,対象者を静かなBGMの流れる個室に誘導してテーマに沿って会を進めた。その結果,対象者全員に何らかの効果が現れ回想法の有用性を認めた。しかし,評価法によって異なる結果の得られるケースも多くあり一つの評価表のみで判断することの危険性も把握することができた。

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© 2007 一般社団法人 日本農村医学会
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